離婚後の親権はどうなる?親権者となる条件を徹底解明

離婚する夫婦の間に子どもがいる場合には、そのどちらが子どもを養育していくのかの権利である「親権」を決める必要があります。

日本では約9割が「母親」が親権を持つ
日本では、子どもがいる夫婦のうち、約9割が、母親が親権を持つ形で離婚に至っています。
理由としては、母親の方が子どもと接する時間が長いからであり、「男は外で働き、女は家庭を守る」という日本古来の家庭の形が大きく関係していると言えるでしょう。
そのため、父親が親権を獲得するのは容易ではありません。

しかし、離婚後の子どもの養育や接し方については世界各国で違いがあります。
実際、日本を除くG20(主要20カ国)を含む24カ国のうち22カ国が離婚後の親権を共同にするか単独にするかを選ぶことができます。

本来、離婚をしても二人の子どもである事実に違いはありません。
にもかかわらず、どちらか一方を選択しなければいけない日本の現状に違和感がある人も多いでしょう。

前述したように、離婚後の「親権」を奪い合っているのは先進国のうち日本とインドだけという声もあることから、共同親権制度の導入が進められています。

 

離婚前に知っておくべき「親権」とは?
そもそも親権とは、成人に達していない子どもの身の上の世話と教育を行うと同時に、子どもの財産管理を行うために、父母に認められる権利・義務を指します。
子どもの親権者となる上で最も重視されるのが、子どもの利益(幸せ)です。

先に挙げたように日本では婚姻中は夫婦が共同親権者として子育てを行いますが、離婚後は夫あるいは妻のどちらかが親権を持ちます。
一度決めた親権者を変更するのは困難であることから、慎重に申し込む必要があります。

 

離婚時親権者を決める流れ
 親権者が決まる流れは、以下となります。
● 夫婦間での話し合い
● 離婚調停
● 離婚裁判

話し合いで穏便に親権者を決めることができればすぐに離婚の成立が可能となりますが、協議がまとまらない場合には第三者機関による離婚調停、調停も不成立の場合には裁判に至ります。
いずれにしても親権者が考えなければいけないのは「子どもの幸せ」であり、それ以外にありません。
その上で、子どものためにどうしても親権を得たいと思うのであれば、確固たる条件を揃えたうえで判決を待ちましょう。

 

離婚時に親権を得るために必要となる5つの条件
離婚する場合、「どうしても子どもを手放したくない」と思っているのであれば親権を取ることが必須条件となります。
親権を得るためには、これからご紹介する5つの条件が必要となります。

 

①子どもへの愛情

子どもを監護し、共に生活していくためには子どもに対する愛情の有無が必須条件となります。
「親なら誰しも子どもに愛情がある」と感じるかもしれませんが、ここでいう愛情とは単に「可愛い」「愛している」といった感情面だけではありません。

● 実際に子どもの世話をしてきたか
● これまでの子どもとの過ごし方やコミュニケーション内容
● 育児と子育ての両立方法
● 休日の過ごし方

いくら愛情があると訴えたとしても、離婚前に子どもと接している時間が極端に少なく、子育てにはほとんど携わっていない状態で親権を求めても無理だということを表しています。

 

②子どもの年齢・意思

幼い子どもにとっては母親の愛情が必要不可欠であり、母親との暮らし方が幸せだという「母性優先の法則」があります。
親権争いで母親が優勢とされるのはこの法則にのっとっています。
ただし、15歳以上になると子どもの意思が尊重されます。
経済的に安定している、引っ越しをしたくないなどといった子どもの意思が尊重されて父親が親権を持つケースも考えられます。

 

③親権者の健康状態

健康的に問題がある、あるいは障がいがあるなど子どもの日常的な世話ができる状態か否かも重視されます。z
持病がある場合には親権を持てないというわけではありませんが、親権を決める際に最も重視されるのは子どもの福祉・幸せです。

そのため、親権者には子どもの生活そして世話ができる程度の健康が求められます。

 

④離婚後の生活

離婚後の生活環境についても非常に重要な判断要素です。
特に子どもが幼い場合には、子どもと過ごせる時間が長い、あるいは親権者の親や親族など子どもとの暮らしをサポートしてくれる人の存在などを含む環境面が考慮されます。

 

⑤経済状況

離婚後の親の経済状況も判断基準の一つとなります。
経済的に自立していて、金銭的に問題なく暮らしていける環境が望ましいとされていますが、たとえ相手よりも年収が低くとも養育費で補えたり各種手当の支給対象となる場合などはその限りではありません。
ただし、借金を繰り返している、ギャンブル依存、浪費癖があるなどは親権者としての適合性が否定され親権を得られない場合もあります。

 

離婚後に親権を得るために~子どもの幸せを考えた決断を~
離婚後に子どもがいる場合の、親権を得るために知っておきたい親権の基本と揃えておきたい条件について解説しました。
本文でもご紹介したように、日本では約9割が母親が親権を持っていることからも、もし父親が親権を得たいと考えているのであればある程度の下準備が必要と言えます。
いずれにしても、両親の離婚で辛い気持ちや離婚しなければ経験しなかった出来事や変化が生じるのは子どもです。
だからこそ、親として子どもの幸せを第一に考えた決断をしましょう。