離婚を考え始めたら向き合うべきお金問題~必要なお金と得られるお金

夫婦の約3割が離婚すると言われている現代において、結婚したからといって必ずしも生涯を共にするとは限りません。
離婚する可能性は誰にでもあるもの。だからこそ、万が一の場合にはスムーズな離婚成立を目指したいものです。
本記事では、「離婚にかかるお金って?」という疑問を解消すべく離婚前に必要な下準備についても解説します。

 

離婚に必要となる4つの「お金」とは
離婚するためにはお金がかかるとイメージはできていても、具体的に「何にどのくらいかかるのか」まではご存じない方も多いでしょう。
実際に離婚を経験した人からも、「離婚にこんなにもお金がかかるなんて知らなかった」という声も多いことから、お金が必要となることについては覚悟が必要です。

 

離婚に必要となるお金は、大きく分けて下記の4種類です。

● 離婚手続きにかかるお金
● 別居するためにかかるお金
● 別居後生活するためにかかるお金
● 【子どもがいる場合】子どもにかかるお金
くわしく解説していきます。

 

離婚手続きにかかるお金

離婚手続きに関しては、それまでの夫婦の関係性や離婚に至った原因などに関係します。

基本的な離婚手続きは、役所に離婚届を提出することだけ。
そのため、夫婦それぞれが離婚に合意している円満離婚である場合には離婚手続きにお金はかかりません。
ただし、後々のトラブルを防ぐためにも、子どもがいる場合の取り決めや財産分与については公正証書で離婚協議書を作成することをおすすめします。
公正証書の作成には手数料が数万円程度、専門家に作成を依頼する場合には5~10万円程度の費用が必要となります。

離婚時のお金について問題となるのが、合意していない、揉めているケースです。
離婚への話し合いがまとまらない場合には、離婚調停や離婚訴訟といった裁判手続きが必要となるからです。
弁護士に依頼する場合の相場は以下となります。

● 「離婚調停」…50~60万円
● 「離婚訴訟」…60~80万円

離婚に至った原因に不倫やハラスメントなど何かしらの問題があるなど解決が難しい場合には、高額になる傾向があります。

 

別居するためにかかるお金

離婚後、別居する場合にもお金がかかります。
婚姻中に暮らしていた家にそのまま住み続ける場合にはお金はかかりませんが、新しく家を借りたり、実家に戻ったりする場合にも各種手続きや引っ越し費用がかかります。
家を借りる場合の費用としては、敷金・礼金・保証金に加え、不動産会社が決めた月分の家賃が契約時に必要となります。
さらに、新生活に伴い家電や家具を揃えるなど、100万円弱は準備しておいた方が良いでしょう。

 

別居後生活するためにかかるお金

別居がスタートしたら、家賃以外にも生活費が発生します。
食費や光熱費、通信費、公共料金、税金…など、それなりの金額が必要となります。

特に、専業主婦で別居に伴い仕事を始める場合には、給与を得るまでにしばらく時間がかかります。
あらかじめ生活費として50万円ほどの用意があった方が安心と言えるでしょう。

 

【子どもがいる場合】子どもにかかるお金

お子さんがいらっしゃる場合で、親権を持つことになれば子どもにかかるお金も必要となります。
小さなお子さんであれば、保育園代や延長代など。
また、小学生以上であっても、離婚に伴い転校する場合には新しい学校の制服や用品代など諸々の費用が必要となります。

養育費を受け取っていても、イレギュラーな出費はつきもの。
対応するためにも、余剰金が必要と言えるでしょう。

 

離婚でもらえる「お金」について

離婚に際しては、ケースバイケースによりますが相手からもらえる、請求できるお金が存在します。
● 婚姻費用
● 財産分与
● 慰謝料
● 養育費
● 年金

特に財産分与、慰謝料、養育費でトラブルに発展するケースが多くあるので要注意!
自分たちで解決できない場合や、相手の提示額に納得ができない場合などは専門家への依頼をおすすめします。

 

各種助成金・減免措置について

離婚で子どもの親権を持った人に対しては、助成金などの優遇措置が設けられているので該当する場合には利用しましょう。

また、税金についても減免される可能性があります。
詳細についてはお住まいの役所に問い合わせの上、手続きが必要となります。
各種助成金や税金の減免措置について詳しくみてみましょう。

 

児童手当

0歳から中学校卒業までの子どもに支給されるお金。
支給金額については、子どもの年齢と人数によって異なり、以下の通り。
3歳未満…15,000円
小学校卒業まで…10,000円(第3子以降は15,000円)
中学生10,000円

 

児童扶養手当

離婚や死別などによりひとり親になった家庭に支給されるお金。
親の所得と子ども人数に応じて金額が異なるが、全額支給となった場合の金額が以下の通り。
● 子ども1人…42,910円
● 子ども2人…+10,140円
● 子ども3人目以降…+6,080円

 

児童育成手当

児童扶養手当と同様、離婚や死別などによりひとり親になった家庭に支給されるお金。
支給額は13,500円(1人あたり)
児童扶養手当の所得制限よりも基準が緩やかであるため、支給されやすい。

 

特別児童扶養手当

精神または身体に障がいを有する子どもを家庭で看護・養育する父母を対象に支給されるお金。
障害等級に応じて支給される
● 1級(重度障がい児)…月額52,200円
● 2級(中度障がい児)…月額34,770円

 

母子家庭等の住宅手当

子どもを養育しているひとり親家庭の家賃負担軽減を目的に支給されるお金。
金額や支給条件については自治体で異なる。

 

ひとり親家庭等医療費助成制度

ひとり親家庭等の医療費負担軽減を目的に助成金を支給する制度。
金額や支給条件については自治体で異なる。

 

税金減免措置

離婚に伴い税金減免措置の対象となるケースがあります。
ただし、自身にて手続きが必要となるものもあるので、あらかじめお住まいの役所にて対象かを確認し手続きしましょう。
● 所得税・住民税
● 国民年金保険料・国民健康保険税

そのほかにも減免の対象となるものもあります。

 

離婚でお金に困ることのないよう、早めの対策を!
離婚でかかるお金や、必要な手続きなどについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

離婚して生活が変わることは負担がかかりますが、さらにお金の問題も加われば悩みや負担は増えるばかり。
いつ誰が離婚を経験するかは分からないからこそ、いざ離婚となってからお金に困ることのないようある程度の算段をしておくなど、早めに対策しましょう!